米国カリフォルニア州アナハイムを拠点に世界各地にオンライン教育を提供するアナハイム大学では、今秋、黒澤明スクール・オブ・フィルムのデジタル映画製作修士課程、オンラインMFA(Master of Fine Arts)プログラムの第1期生の入学を予定しています。1期生入学に際し、ディスカバリー・ネットワークでアジア・太平洋地域のテーマを扱うドキュメンタリー監督として活躍する、同スクールのヴィクラム・チャンナ教授が、自身のキャリアと業界について語ります。
- ついに本年9月、黒澤明スクール・オブ・フィルムのオンラインMFA (Master of Fine Arts)プログラム第1期生が入学します。新入生に一言。
本当に楽しみです!メディアは多くの業界のように、私たちの周りで絶え間なく変化しています。このプログラムに足を踏み入れると同時に、常に変化に対して適切な問いかけをすること、プロフェッショナルとしての観点から、それが自分にとってどういう意味を持つのか問うことが非常に重要です。
- これまででお気に入りのプロジェクトは?
今中国の伝統的な医療についての完全版の撮影に取り組んでいます。中国の文化について深く理解するためのひとつの重要な見方です。
- 素晴らしいドキュメンタリーに必要なものは?
視覚的にも感情的にも人を引き付けるような素晴らしい洞察と視点のバランス
- 故・黒澤明氏についてどう思いますか?
黒澤氏は「グローバリゼーション」が世界的なものになる以前から、本当の意味でのグローバリストでした。慣習に逆らい、普遍的なビジュアル・ストーリーテラーとして偉大な足跡を残しました。それは、ハリウッドが彼の多くの作品にインスパイアされ、存命中からリメイク版を製作した理由でもあります。
- グローバルなコンテクストにおいて、映画というアートはどう広がっていますか。
面白い時代だと思います。今何が起きているのか見てみると、映画の価値観とストーリーテリングがテレビを凌駕している。技術のなかった昔とは違い、今は素晴らしいクオリティのコンテンツをどこでも見られるようになり、高解像度のスマートテレビが生み出した黄金時代とも言えるでしょう。同時に、X-MEN、スパイダーマン、ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー、スタートレックなどに代表されるような、続編がいくつもある、典型的なテレビシリーズのような型に移行しつつあるのもハリウッド映画です。
それと同時に、他の文化からのニッチなコンテンツがオーディエンスを得、メインストリームのメディアと同列に存在するという、独自の可能性をグローバル化とインターネットが一緒になって生み出しました。
- アナハイム大学のMFAプログラムの学生にはどのようなことを学んで欲しいですか?
最初の質問の答えに戻りますが、今はとても面白い時代です。この大きな変化の時代にあって、どれだけ機会を見出すことができるかに成功はかかっています。成功への道を定義づけることは可能ですが、同時に自分自身が業界の変化についていく必要があります。
1995年ディスカバリー・コミュニケーションズ入社。ディスカバリー・ネットワークのアジア太平洋地域の企画開発部門次長を務める。アナハイム大学黒澤明スクール・オブ・フィルムでは副研究科長を務める。テレビ・映画製作と歴史の両分野の修士号のほか、MBA(シカゴ大学)を保有し、戦略的思考を現場にも応用する。ディスカバリー・ネットワークでは主にアジア太平洋地域に関するコンテンツを統括。シンガポールを拠点に、ディスカバリーにおけるチャンナ氏のチームは毎年100時間以上ものコンテンツを提供する。これまでにチームで500以上のドキュメンタリーを製作し、多数の賞を獲得。
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