Dr. Rod Ellisアナハイム大学TESOL(英語教授法)教授陣インタビューシリーズ - ロッド・エリス教授「タスクベースの指導法」

世界的に著名なイギリス人応用言語学者であるロッド・エリス教授 (Dr. Rod Ellis) は、第二言語習得の分野における第一人者として知られています。エリス教授は90年代後半、同じく著名な応用言語学者のデビッド・ヌーナン教授及びルース・ワジンリブ博士に続いて、オンライン教育のパイオニアであるアナハイム大学の教員に就任しました。テンプル大学の日米両方のキャンパスでの指導経験に加え、現在はオークランド大学の人文言語学研究科の教授を務めています。アナハイム大学では教育学研究科で主任、研究科長を務めたほか、副学務部長を務めています。2015年にカナダ・トロントにて開催された米国応用言語学会にて、エリス教授にインタビューを行いました。


- 英語教師から世界的な応用言語学者へというキャリアのブレイクスルーとなったのは何でしたか?

エリス:初めはザンビアで英語教師をしていたのですが、大学で中高の英語教員の養成をすることになりました。教師から教師を養成する立場になったわけです。言語教育に関する本をもっと読み、勉強するようになりました。 その次はイギリスに戻り、ゴードン・ウェルズ氏という、幼児の言語獲得に関する研究をしていた人と教育学修士課程で一緒に研究したことです。このことがきっかけで、研究に大きな興味を持ち始めました。その後博士号を取得し、自分の研究をすることになりました。教師から教員養成、そして研究者へという変遷はありましたが、教員を養成することから離れたことはありません。

- 1990年代後半以降、アナハイム大学のオンラインTESOL修士課程で教えてこられました。近年は世界初のオンライン博士課程 (Doctor of Education in TESOL)を開発されました。そのことについて教えてください。

エリス:アナハイム大学は、TESOL修士課程を含めたその他の分野において、主に大学院レベルの質の高い授業を提供するオンライン大学を目指した初めての大学でした。私にとっての大きなやりがいは、アナハイム大学の成長と発展に尽力し、カリキュラムを開発すること、そして新たな技術が生まれた際には、それらを導入するといったことでした。テクノロジーにあまり詳しくない私にとって、自分のスキルを磨くことにもつながりました。アナハイム大学は、対面式の授業とは大きく異なる、オンライン教育に私を導いてくれました。ですから、自分自身多くのことを学んだということが最も大きなやりがいでした。アナハイム大学で教えるだけでなく、アナハイム大学が、効果的なオンライン授業を行うことを教えてくれたのです。そして、オンライン教育は今後明らかに伸びていくであろうものでした。
さらに、アナハイム大学で教える中で、多くの先生方と一緒に仕事をする機会がありました。デビッド・ヌーナン博士や、ルース・ワジンリブ博士、キャスリーン・ベイリー博士、最近はハイヨ・レインダース博士などです。このような先生たちと一緒に仕事をすることができたのは、大きな喜びでした。彼らは一流のプロフェッショナルであり、それぞれの分野の権威であり、大変素晴らしい先生方です。一緒に仕事ができることを大変光栄に思っています。


- 日本や韓国、中国での経験も豊富にお持ちですが、それらの国の英語教師が抱える最大の課題は何でしょうか。


エリス:問題の一つは、中国人、日本人、韓国人英語教員の語学レベルにあるといえるでしょう。多くの教員は自分の指導力に自信がなく、方法論に頼りがちです。つまり、最小限のスピーキングで済むやり方です。スピーキングを伸ばす良い方法としては、リスクを恐れず、手に入る英語のリソースをうまく使い、完璧でなくても英語をツールとして使いコミュニケーションができる、ということを生徒たちに示すことです。これが私がタスクベース(何かを作業に基にした)の英語教育をすすめる理由の一つです。教師がタスクベースの指導を行う時、生徒たちの話す力を伸ばすだけでなく、教える側自身のスピーキングを伸ばすことにもなります。教えること自体が学習なのです。英語を教えることを学ぶことで、自分も学ぶことができます。このことを日本や韓国、中国の英語の先生たちによく理解してもらう必要があるでしょう。


- 新人の英語の先生たちにアドバイスを。


エリス:まず教室に入る前にしなくてはいけないことは、よく準備をすることです。授業がどのようなものになるか、しっかり考えなくてはいけません。良い先生は授業案をただ実行するだけではなく、教室で起こることに対して柔軟に対応します。最も良い先生は、教室で生徒たちと効果的なコミュニケーションが取れる先生だと思います。アクティビティのインストラクションを明確に示し、つまづいている生徒たちと、うまくやれている生徒たちのそれぞれのシグナルを察知します。これは究極的には先生自身のコミュニケーション力に関係します。良い先生はコミュニケーションが上手です。テクニックよりも生徒たちとうまくコミュニケーションをとることの方がずっと重要です。

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