2010年にアナハイム大学が黒澤明監督生誕100周年を記念して製作したビデオ映像、 “Akira Kurosawa 100th Anniversary Memorial Tribune” (YouTubeよりご覧いただけます)より、スティーブン・スピルバーグ監督の黒澤明監督についてのコメントを抜粋・翻訳してご紹介いたします。
黒澤明監督の初めての監督作品「姿三四郎」から最後の作品「まあだだよ」まで、黒澤監督は私たちの世代、そして映画を見て、映画にインスパイアされ、映画から学びを得るすべての世代にとっての巨匠でした。このことは同監督の生誕100周年記念の日に、私が決して忘れないことです。何年も前のことですが、黒澤監督と東京でてんぷらを一緒に食べに行った素晴らしい夜のことを覚えています。黒澤監督と初めて会った日のことです。私たちは映画について話し始め、その日私は、初めて本当に日本の映画製作とアメリカの映画製作に溝が全くないということに気が付きました。私の経験からしても、「七人の侍」といった作品に代表されるような黒澤監督の経験からしても、私たちは人工的な環境、例えば人工の雨の中、その雨による本物の泥にまみれながら働くこともよくあり、ある意味、同じ重労働をするブルーカラーの労働者でした。
私たちは5時間も映画作りについて話しました。それは私にとってはもう一人のアメリカ人映画監督と話しているようなものでした。そして、黒澤監督にとっても、もう一人の日本人映画監督と話しているようなものだったのではないかと思います。なぜなら、黒澤明監督のような監督は、私たちが共通する文化とことばを持っているということを私たちに証明してくれたからです。
私たちの文化的遺産とは、世界各地で私たちをインスパイアし続ける人たちです。伝えたいことを持っている人、その作品を私たちの人生にもたらし、イメージとストーリー、驚くような素晴らしいものによって、永遠に私たちに感動をもたらしてくれる人たちです。
このような人々から、私たちは学びを得るのです。黒澤明監督から私は、地球上のほぼすべてのどんな映画監督よりも多くを学びました。
アナハイム大学の黒澤明フィルムスクールの設立をうれしく思います。私がそうだったように、多くの世界中の学生がこの偉大な映画監督にインスパイアされることでしょう。
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【関連リンク】
黒澤明監督生誕100周年記念追悼コメント(オリバー・ストーン監督)(2010年)